小児科一般
(記載内容は文献をもとにしておりますが、参考にとどめ、受診した医療機関の指示に従ってください。)
かぜ
発熱、鼻汁、咳などの症状が出ます。合併症がない場合9割がウィルス感染症です。ウィルス感染症には抗菌薬(抗生物質)は効きません。もちろん、風邪単独の時の話なので中耳炎や気管支炎、肺炎の時などは抗菌薬が必要となることがあります。
手足口病
初夏から秋にかけて流行する夏かぜのひとつです。エンテロウィルス、コクサッキーウィルス感染によって口の中、手のひら、足の裏などに特徴的な発疹が出てきます。自然治癒する病気で、対症療法が基本となります。ただ、新生児には髄膜炎や脳炎などを起こすことがあり、注意が必要です。
登校(園)基準
口の中の発疹が消退して、ご飯が食べられるようになるまでお休みとなる事があります。
ヘルパンギーナ
初夏から秋にかけて流行する夏かぜのひとつです。コクサッキーA群が原因となります。突然の高熱(2~3日)、喉の発疹が出て痛みを伴います。
クループ症候群
喉頭(声が出るところ)周辺に感染を起こすことで、嗄声(声がれ)、犬吠様咳嗽(犬の遠吠え、オットセイの鳴き声のような)、呼吸苦、発熱の症状が出ることが特徴です。特に夜間に呼吸状態が悪化しますので注意が必要です。
水痘
赤く、水疱・かゆみを伴った特徴的な発疹が増えてきます。
- 潜伏期間
- 10~21日
- 予防法
- 1歳になったら予防接種をしましょう(合計2回)
登校(園)基準
全ての発疹が痂皮化するまで
ムンプス(流行性耳下腺炎)
耳の下が腫れて、痛みを伴うことが特徴です。典型的には両側の耳下腺の腫脹がみられます。治療は症状に応じて行う対症療法となります。
感染した100人に1人が無菌性髄膜炎、500~1000人に1人に回復不可能な片側の難聴、3000~5000人に1人が急性脳症を合併します。予防接種で予防が出来る病気です。
感染した100人に1人が無菌性髄膜炎、500~1000人に1人に回復不可能な片側の難聴、3000~5000人に1人が急性脳症を合併します。予防接種で予防が出来る病気です。
登校(園)基準
耳下腺、顎下腺、舌下腺が腫れた後5日を経過し、かつ全身状態がよくなるまでお休みです。
インフルエンザ
高熱を特徴とする感染症です。他のウィルス疾患と症状で鑑別することは困難なことが多く、診断は迅速キットで行います。ただ、発熱して間がないと迅速キットで陰性に出てしまう事も多く、注意が必要です。治療方法については対症療法、漢方薬、抗ウィルス薬(タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタ)があります。抗ウィルス薬については異常行動が増えるとの報告もあり、内服後48時間は注意が必要です。
登校(園)基準
発熱後5日かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで。発熱初日を0日目とカウントします。
百日咳
コンコンと咳込んだ後に、ヒューと笛を吹くような音をたてて息を吸う特徴的な咳が出ます(予防接種が済んでいるお子さんでは特徴的な症状が出ないことがあります)。生後3ヶ月未満の乳児では無呼吸発作、肺炎、中耳炎、脳症などの合併症も起こりやすく、命に関わることもあります。幼児期後半以降では長期間続く咳として来院されます。
予防接種で予防出来ます。
予防接種で予防出来ます。
登校基準
特有の咳が消失するまで、もしくは5日間の適正な抗菌薬投与による治療が行われるまで出席停止となります。
咽頭結膜熱(プール熱)
アデノウィルスに感染することで発症します。39℃以上の高熱、喉の痛み、眼球結膜充血(目が赤くなる)などの症状が出ます。抗菌薬の内服は必要ありません。
登園(校)基準
発熱、咽頭炎、結膜炎などの主要症状が消失した後2日を経過するまで出席停止となります。
RSウィルス感染症
3歳未満、特に乳児が感染すると急性細気管支炎と言って細い気管支に炎症を起こし、ぜーぜーしたり、呼吸が苦しくなったり重症化しやすい傾向があります。症状が軽ければ他の風邪との鑑別は困難です。抗菌薬などは効きませんので症状に応じた対症療法が基本となります。迅速検査は入院中もしくは1歳未満の乳児に保険適応があります。それ以外は自費となります。
ヒトメタニューモウィルス感染症
発熱、咳、鼻汁、ときに喘鳴を伴います。肺炎になることもありますが、抗菌薬は効きませんので対症療法が基本となります。
検査は3歳未満で胸部Xp上肺炎がある子に保険適応があります。(それ以外は自費となります)
検査は3歳未満で胸部Xp上肺炎がある子に保険適応があります。(それ以外は自費となります)
感染性胃腸炎
細菌性とウィルス性があります。
- 細菌性
- いわゆる食中毒です。有名なものではサルモネラやカンピロバクター、病原性大腸菌などがあります。
- ウィルス性
- ロタウィルス、ノロウィルス、アデノウィルスなどが原因で発症します。
症状は嘔吐、下痢、発熱ですが、全ての症状がそろうとはかぎりません。ウィルスの種類によって症状に特徴がありますが、治療方法は特に変わりません。
熱性けいれん
主に生後6ヶ月~5歳までの乳幼児期に起こる、 通常38℃以上の発熱に伴って起こります。
日本人の7~8%に起こるとされており、過半数以上の方が生涯1回のみです。2回以上けいれんを起こした場合にはジアゼパム座薬の予防投与を検討します。
- 予防接種について
- 熱性けいれん診療ガイドライン2015では、接種日当日の体調に留意すれば全ての予防接種をすみやかに接種して良いという考えが推奨されています。
水いぼ(伝染性軟属腫)
伝染性軟属腫ウィルスが感染することのよって起こります。かゆみを伴う事が多く、掻くことで広がってゆきます。自然治癒が期待できる疾患ですが、低年齢だと広がってしまう事も多く、あまり広がってしまうと治療も大変になってしまいます。
- 治療法
- 専用の鑷子で除去する方法が推奨されています。有効な外用薬はありません。硝酸銀で処置されるところもありますが、暴れたときに正常の皮膚に薬液が付かないように注意が必要です(当クリニックでは硝酸銀の処置は行っていません)。